富良野で飲食店やハム・ソーセージの製造を行う「富良野牧場」を営む株式会社FB代表の長谷川晃平さんと、富良野駅前にある人気のカレー屋「唯我独尊」の宮田寿丸さんをNORTH NAVIライターのSERINAがインタビュー!
お二人が起業したきっかけや、これからの富良野について語っていただきました。
二人が起業したきっかけ

こんにちは!NORTH NAVIライターのSERINAです!よろしくお願いします!
本日は株式会社FB長谷川さんと、唯我独尊の宮田さんにお越しいただきました!本日は色々聞かせて頂けたらと思いますのでよろしくお願いします。それではまずご自身の経歴、プロフィールを長谷川さんからお願いします。

はい、僕は富良野育ちで中高は札幌なんですけど、そのまま大学東京に行って、その後デパ地下のお惣菜業態をやってる食品会社に勤めて。その後に、元々祖父と父が牧場をやっていて、その傍ら小さいハム・ソーセージの食肉の加工業やっていたんですよ。牧場は廃業しちゃったんですけど、その加工品屋がまだ工場として残っていたので、それを継ぐために富良野に戻って来ました。

へぇ〜!

その後で、ハムやソーセージについて自分で学びつつ、職人さんもまだ工場に残ってらっしゃったんで、職人さんにも教えてもらいながら。元々サービス業メインだったものですから、飲食店もしたいなと思って始めたのが、最初のFURANO BURGER。

そこでバーガーにたどり着いたって事なんですね!

そうです。そこから色々飲食店もやりながら、自分の1番のメインの仕事であるハムソーセージ作りをしながら、全国の百貨店の北海道物産展にそのハム・ソーセージを売りに行ったりとか、百貨店に卸したりとかそんな仕事をしてます。

じゃあ全国に行ってるって形ですね!ありがとうございます!
次に宮田さんお願いします!

富良野生まれ富良野育ちで、高校出てから東京に行って美容(メイク)の勉強をしてたんですけど、まぁ挫折しまして。(笑) それで、戻って来て音楽をやってまして、弾き語りだとかバンドだとか、ノイズロックだとかなんか色々やりましたけど。
札幌に住んではいたんですけど、富良野に帰って来て、実家で働きながらライブしに札幌行ったり、東京行ったり。それでソーセージだとか、ハムだとかっていうのを少しずつ自分でできるようになっていきまして...、今ここにいます!(笑)

ここ近いんですよ、やっていることが。

そうなんですよ、業種的には近くて。

お互いの両親も仲良いですし、仕事も共通してる部分もあるし。

音楽とかライブとかお父さんお母さん来てくれて。

めちゃくちゃ歌上手いんですよ、すごいセクシーボイスで!(笑)

えぇ〜!聞いてみたいです!(笑)

ほんと家族ぐるみで仲良いんです。

いつからの仲なんですか?

帰って来た時にはもう仲良かったんで。その北海道物産展で僕らの両親同士も会ってますし、もう20年以上前の話ですかね。

そうなんですね!ありがとうございます。
じゃあ次になんですけど、お二人が起業しようと思ったきっかけを教えてください。

東京の大学時代にあのファッションにすごく興味あって、ファッションの仕事したりとかもしてたんですけど、就職では自分の好きなことをやりたかったんですよ。で、興味あること何かなって考えた時に、食べ物と洋服の2本柱で考えたら、ファッションの方が自分に向いてないなと思って、食べ物に行こうと決めたんですよ。それで、デパートが大好きだったんで、デパ地下の業態でその当時売上規模が1番高く大きな会社に就職して。
その後、次のステップで海外留学とかも色々考えたんですけど、うちの父が「加工場を手放すかな」とか、富良野でやっていた商売をまた考え直そうかなっていうタイミングで、「今帰らないと自分の故郷がなくなってしまう」というか、今継げばその名前も残るし、それで悩んだ挙句帰って来たんですよ。

はい。

さっきも言ったように今まではサービス業で、ずっと加工工場っていうのも息が詰まっちゃうんで「何かできる飲食店ないかな?」と思い、地元になくて自分の好きなことでって考えてハンバーガーをやったんですよ。
その後、そのハンバーガーをもっともっとこだわりたいからっていう思いでパン屋(「FURANO BAKERY」)も始めて、その後に始めた「FURANO BAR」っていうイタリアン業態のお店は、自分がファッションが好きで何回かイタリア行ってるうちに、イタリアの食文化にもすごい興味が出て「そんなこと富良野でできたら面白いな」って。富良野でそういうところがあんまりなかったんで、そういう思いでFURANO BARを始めて。

へぇ〜!

その後に、この(撮影場所の)「富良野侘助」っていう和食屋なんですけど。インバウンドの方もコロナ前は沢山来られてて、そんな方々が和食を欲してたっていうのと、富良野には和食店が少ないので、地元の方々が喜ぶことなんかないかなって考える中でこの和食屋をオープンさせて、それで今ですね。だから最初決めてからトントン拍子というか、やることを追求してるうちにどんどん生まれてきた店たちって感じですかね。

でもなんか全部実現してますね、なんか飲食だったりファッションもそうですけど。すごいなあと思います!

やりたい事をやってきたって感じですかね。

すごいですよね、実現してるというか全部形になってるっていう。

やっぱり周りのサポートも大きかったですし、自分の親も未だに健在だし、妹とか兄妹もそうだし、またスタッフたちに恵まれたっていうのと、地元の方々もやっぱりバックアップがすごいあったので、それで今できてるんですね。

なるほどですね、ありがとうございます!
それでは次に宮田さんお願いします。

継ごうと思ったというか、まぁ思い入れですかね。ちっちゃい時からうちの親がペンションをやっていたりとか、今そこがビール工場になってたりするんですけど。あとは「唯我独尊」っていう母体の店の中で僕は小さい頃からそこでちょろちょろしてて、ペンションでは昔うちの親父がフルコースを出していて、そこの横でつまみ食いをしたりしてた小僧だったんですけど。

(笑)

その中で高校卒業してとか何か色々経験してきて、唯我独尊で働く=自分の家で働くというような流れになった時に、なんか覚悟とかはないんですけど、そのまま僕がこの空間だとかここに携わる人だとか「唯我独尊を僕が息子として思う」って事を継続して作っていけたら素晴らしいなって。

ちなみにお店のその「唯我独尊」の意味はどういったものでしょう?

唯我独尊っていうのは多分とても難しい意味だと思うんですよ。人それぞれ違ってもいいと思ってて。その唯我独尊っていうのは「自分が1番」だとかっていう人もいるんですけど。僕が5年前位ですかね?すごい忙しい時に僕がカレーを作ってると、あるお客さんがパッとカウンターの僕の方に来てくれて「唯我独尊っていい言葉ですね!大切なものを大切にするって言葉ですね!」って言ってくれて。それがすごい僕の中で腑に落ちて、それを僕はやってるんじゃないかなとも思ってます。その人は後から聞いたらお坊さんだったんですよね。それが僕の唯我独尊の言葉かなって思います。

素敵ですね、ありがとうございます!
次に人生で1番大変だったことや苦労したことなどがあればお聞きしたいです!

そうですね、やっぱりありきたりだけどこのコロナじゃないですかね。やっぱり飲食店も全国の皆さんや世界中もそうだけど、すごい大変になっちゃって、自分が継続的に行ってた北海道物産展も軒並み中止だったりとか、商売的にもすごい赤字が続いてすごい大変でしたね。

はい。

でもどうしようかなって時に「こんな時代で物産展も中止になりました」と今のお客さんにDMを出して。「もしよかったらこんなセットでうちの商品も今すこし在庫ストックあるので...」って形でお手紙を出したら、それが結構反響あって注文がすごかったんですよ。

へぇ〜!

大変だったけどそれでなんとか助けられて、やっぱり顧客の方を大事にしなきゃなって改めて思ったし、今年の夏は富良野に観光の方が結構戻ってきたんで、飲食店なんかも少しずつまたお客様も増えて来て。そうするとお客さんも笑顔だし、スタッフ達も笑顔だし、やっぱりこの2年は辛かったけどやっててよかったなって思いますね。

この2年、3年ですごい世界がガラッと変わりましたよね。なんか日々の生活から何から何まで変わったというか。

価値観も変わりましたよね。

なんか今までの普通が普通じゃないというか。ありがとうございます。
お次に宮田さんお願いします。

はい、今言ってたこととまさに一緒だったんで。(笑)それ以上大変なことないですね。

なかなかないね。(笑)

新しい見方というか、それを経験して体験して。(コロナ禍の)最初のころ、飲食業って悪だったじゃないですか。

そうだね、1番最初ね。

その中で仕事もやらない日っていうのが出てきたりとか。自分の存在っていうか、普段やってることができないのがジレンマでしたけど、そこでお客さんが応援してくれたりとかで、こういう人と人とのことってどんな時代でも続いていくんだなって思ったんですね。そこは得たことだと思います。それを僕はやっぱり継続させなきゃいけない。今いる人たちは僕の家族も同然ですから、みんなのことを守るだとか。
そういう中ではすごい勉強になった時期でしたし、これが本当に僕がやるべきこと、向かっていく道なんだなっていうのが見据えられた時間でしたね。ただそこは苦労なのかなって思います。今はもう全然転換してますけど。

もう富良野は結構お客さんだったり人出は戻ってきてるんですか?

今年はだいぶ戻りましたね。富良野っていう土地も信じれますよね?(笑)

そうだね!(笑)

僕らが生まれ育った場所はなんかこう信じられるグラウンドなんだって思いますよね。
これからの富良野に必要なこと

じゃあ次に経営のことでもいいですし、個人的なことでもいいんですが、ご自身の中で日々心がけてることや、生活の中のルーティーンでもいいんですけど、それをお聞きしたいのと、これから考えてることをお聞きしたいです。

日々ビジネスで考えてるのは僕も北海道物産展って何回も言ってますけど、結構長いスパンで富良野にいないんですよ。1年の半分ぐらいは道外を転々としながら。

それはもう全国色んなところに都道府県に行くっていう形なんですね。

そうです。自分が作った製品を持って色んな所に行って、専門で周ってくれてる社員もいるんですけど、1年の半分いないんですよ。その中で「日本から富良野を見る」そして「富良野から日本を見る」。客観的な目で両方見たいなと思っていて「今富良野に何が足りないのか」「富良野の地元のお客様はどんなものを望んでいるのか」「こんなことがあったらもっと地元が幸せになるんじゃないか」そういうのを常に外回りながら見てるんですよ。それをフィードバックしながら、少しずつ地元に還元したいなってところの日々の努力ですね。

はい。

あと自分が1番大事にしてるのは、しっかり本質を追求したいということです。本質っていうのは人によって違うんですけど、ハム・ソーセージを作るんだったら、やっぱり日本中どこに出しても恥ずかしくないような本物をやりたいし、飲食店なんかまだまだですけど、なるべく高いレベルで農家さんが一生懸命作ったいい野菜をどれだけ美味しく提供できるか、そんなことを普段考えてますね。あと会社的には、一緒にやってくれるスタッフ達が本当のファミリーみたいに、ファミリー感持った会社でいたいなと思っています。

なるほど。個人的に生活のルーティーンの中で必ずこれだけはしてる、毎日やってるみたいななんかありますか?

ありますね。寝る前に1日振り返る。1日振り返ってここダメだったな、ここ良かったなとか。あとこれはガキの頃だったんですけど、今日自分はここ成長したなみたいな。

あっ、いいですね!

なんか良いこと探します。今日はここ良かったなとか、ここ成長できたなとか寝る前に考える。あと、朝起きた時は今日1日の簡単なスケジュールを頭に入れる。それは毎日してますね。

メモとかではなく頭の中で?

そうですね!なんとなくですけどね。それが癖になってる。

大事ですよね!

なんか毎日ちょっとでも人間なんで成長したいなと思います。後退したくない。

向上心高めな長谷川さんですね!
宮田さんお願いします!

経営は数字と戦いますよね!(笑)だからモードが違うんですよ!(笑)あとは先を見るじゃないですけど、なんかイメージすることを忘れないですね。イメージトレーニングって言うのも変ですけど、なんかずっとイメージしてる形ですね。そこに自分自身もいるんですけど、なんか周りの人も笑顔でいるようなイメージをすごいします。

「こうなったらどうなるんだろう?」っていうことですよね?

僕がこれをやったら「周りの人は笑ってるかな?」「笑顔でいれるかな?」っていうイメージはすごいしますよ。僕から見た経営というのはそれですね。あとは、経営って数字と戦うこともありますけど、仕事として捉えると、僕は仕事っていう捉え方というよりは僕自身が生きてるっていう捉え方かもしれないですね。それがなんか自ずと今ここにあるべきことが繋がって流れになってるっていうか。

個人的に心がけてることありますか?1日必ず絶対これはやるみたいな。

会社に行った時に色々なスタッフがいて、それこそ高校生のアルバイトから今65歳くらい64歳とかの人まで働いてるんですけど、その中で今日は「どういう顔をしてるかなぁ」と思って。人もアップダウンがあったりするじゃないですか?その時に絶対笑わせます。

元気を出してもらうというか?

そうです。だから今日1日僕が良い日でもありたいし、周りの人にとっても良い日であって欲しいなと思って。そこに「唯我独尊」があるっていうところは心がけてますね。

大事ですね!
お二人にこれから考えてることをお聞きしたいです。個人的なことでも良いですし、今後こういうことやってみたいとか挑戦して見たい事とかあれば。

富良野って観光やインバウンドの方がすごい来てくれるんですよ。それは大変ありがたい事なんだけど、1番はやっぱり地元の人が潤って欲しいというか楽しんで欲しいんですよね。そこで自分ができる地元貢献ってやっぱり食を通じてのことなんで、食を通じてもっと地元の人が喜んでくれるようなお店をまた作ったりですとか、やっぱり若い子達中心に「富良野っていい街だよね!」って思って欲しいので、その中でも少しでも力になりたいなというか。「ああいう良い店が富良野にあったよ」とか、「旭川に行かなくても富良野に楽しい店あるじゃん」みたいな。お店作り的にはそういうことがやりたいですね。

なるほど。

あと、僕的に1番は職人だと思ってるんですよ。ハム・ベーコン・ソーセージなんかを作ってるんですけど、それをもっともっと高めたくて、本当に言うならもう日本一のソーセージ屋だとかベーコン屋になりたいわけですよ。今もちょっと時間作っては鹿児島にソーセージ修行行ったりしてるんすけど。(笑)

へぇ〜、すごい!

生ハムとかサラミだったりだとか、そんな新しい価値観の商品も作っていきたいし、個人的にはそこを追求したいですね。その二本柱。

本当にね、職人ですよね。なんか物に対するこう思いですよね。人間と言葉は話せますけど、物と話すみたいな。素晴らしいこと。さすがです!(笑)

ありがとうございます!(笑)

ありがとうございます!
宮田さんお願いします。

僕が考えてることは、世界平和ですね。

世界平和!

はい。富良野っていうこの街のことでいうと、みんなで食べてビール飲んでっていうようなイベントなんかもそうですけど、本当にここでの「みんなが平和なこと」っていうのをどうやっていくのかってのもありますし。
その中で、海外ではいろんな戦争が起きていて、僕がどういなきゃいけないのかとかすごい考えますね。「僕からできる平和ってなんだろう?」「本当にそれはあるのか?」とか、なんかそれを自分自身に試しているとかもありますし。僕が物作りをできてることもすごい平和だと思いますし、みんなも働いてくれてるっていう中で、今の時代に自分が思うことっていうのは平和なんですよ。

平和って大事ですよね。

僕、今日アイヌの服着てるんですけど、僕らが今見てる景色だとか富良野の自然とかって、多分僕らの先人たちも同じ自然を見てきたと思うんですよ。アイヌの方達もそういうものを見てきて、そこに住んで、ルーツがあって、すごい大切なリスペクトできるグラウンドだと思うんですね。
そこに僕は平和感を感じて、僕が大人になって子供達にどう感化していけるか、そこが次の富良野に繋がっていくのかなってすごい思いますね。なので、毎日いい顔して生きていきたいっすね。そして次の世代に感化できる大人でありたいですね。

笑顔でいることは本当大事ですよね、平和と。ありがとうございます。
それでは最後になりますが、NORTH NAVIをご覧の方に一言お願いします。

富良野はいろんなイメージがあると思いますけど、僕ら含めて頑張ってる次を担うような若手もたくさんいるんで、皆さんぜひ遊びにきてください!あと「富良野に住みたい」「働きたい」そんな方がいらっしゃったら、ぜひ富良野にお越しください!

はい、それでは本日はお時間頂きありがとうございました!
株式会社FBの長谷川さんと、唯我独尊の宮田さんでした!ありがとうございます!
長谷川晃平 Profile.

株式会社FB代表取締役
1983年生まれ。富良野市出身。
明治大学卒業後大手食品メーカー入社。
2008年より地元、北海道富良野市に戻り現職。
2023年 現在富良野市内にて食肉加工及び飲食店を経営している。
・富良野牧場(ハムソーセージ加工メーカー)
・FURANOBURGER
・FURANOBAKERY
・FURANOBAR
・富良野侘助
【富良野牧場】公式サイト
宮田寿丸 Profile.

有限会社唯我独尊代表取締役
1985年生まれ。北海道富良野市出身。
1974年唯我独尊創業。
・唯我独尊(カレー、燻製製造)
・富良野地麦酒館(ビール製造)
・となりの独尊(菓子、パン製造)
【唯我独尊】公式サイト
SERINA Profile.

ライバー(配信者)としての活動経験もあり、配信ルームを完備したオフィスを札幌と旭川で展開する、ライブ配信プロダクションの、「LIVERS OFFICE エクスプロレ」の戦略、人事を担当。
一人一人の個性を活かして、活躍できるように、日々奮闘している。
また、はちみつの奥深さを学び、心を打たれ、手を汚さずに食べられるハニースティック「#8HONEY(エイトハニー)」を考案し、発売する。
いつでも食べられる便利さと美容、健康、料理にも。”北海道産純粋はちみつ”がポイント。
好奇心旺盛で知識欲、経験欲のかたまり。
野生的な直感を大切にして生きている。