さっぽろレインボープライド実行委員会・実行委員長の柳谷由美さん、実行委員の石黒紫乃さん、NORTH NAVIライターのmiyukiによる対談。
新型コロナウィルス感染拡大の影響を受け、オンライン配信での開催となった「さっぽろレインボープライド2021」。実行委員会・委員長の柳谷由美さん、実行委員の石黒紫乃さん、NORTH NAVIライターのmiyukiが、今年のイベントの実態や、近年のLGBTに関する問題について語る。
「さっぽろレインボープライド2021」について
2021年の9月19日(日)に開催される「さっぽろレインボープライド2021」が、今年はオンラインの開催になってしまいましたが。
例年札幌市の中心部をみなさんに集まっていただいてパレードをするっていうことをやっていたんですけど、昨年はコロナの影響でイベントは規模もすごく縮小して開催させていただいて、それに加えてオンラインという形で実施しました。 今年も引き続きコロナの状況があったので、私たちもどういう風な形で開催するのがいいのかっていうのを検討していたんですけども、なかなか状況が収まらないということで、本当はリアル開催を目指したかったんですけれども、難しそうだという判断で今回はオンラインでの開催ということになりました。
結構悲しいですよね。
そうですね。パレードとかこういった活動って、みなさんに集まってもらってやることでイベントが成り立つので、私たちも実際に歩いてイベントを作り上げていきたいっていう気持ちはすごくあるんですけれども、また違う形(オンライン開催)でもいろんな人に知っていただくっていうことがすごく大事かなって思います。
オンラインだといろんな方に見てもらえそうな気もしますけどね。
昨年もオンラインで生配信をやったんですけど、1万人以上の方が見てくれて...
えっ、めっちゃ見てるじゃないですか!(笑)
今まではこういうことをやったことがなかったんですけど、直接会場に来れない方たちもオンラインではイベントに参加できたっていうのがあったので、これに関してはコロナに関わらずこれからもやっていきたいなって思います。
今回はどんな感じでオンラインイベントを開催するんですか?
ちょっと前までパレードを歩くっていうことを目標にしていたので、今回はまだ具体的にこういう形でやろうっていうのをはっきり決めていない状態で現在検討中です。
頑張ってみなさんに楽しんでもらえる様に!やっぱり「(パレードに)行きたかった!」とか「頑張ってください!」っていう感じで皆さん応援してくださってて。(パレードを開催できないのは)すごく心苦しいところもあるんですけど、みんな大変なのは同じなので、少しでもお家ででも楽しんで「一緒にいる」感味わってもらえる様に...、機械が苦手な実行委員長も頑張っているので!(笑)
そうなんですよ(笑)TwitterとかInstagramも全然分からなくて(笑)
オンラインイベントに関する詳しい情報は公式ホームページや、TwitterとかInstagramの方で。こちらは得意な方が更新してくれていますんで(笑)
昨年の「レインボープライド」について
去年のイベントの成功した点だったり、今後につなげるべき課題とかって実際にやってみてどうでしたか?
紫乃(石黒)さんは今年から参加していただいて。
そうです!新人なんです!
全然新人っぽくないけど(笑)
めちゃめちゃベテラン感出てますよね!(笑)
去年はコロナがあったんですけど、ちょうど9月が状況が落ち着いていたのでパレードの開催ができて、僕も実際にパレードに参加したんですけど、参加を応募制にして事前に入場制限してって形の開催で、今年はできなくなってしまって。でも新しいことが色々出てきたので、僕らも勉強になりますよね。
そうですね。去年はオンラインで生配信っていうことも初めてやったり、パレードも事前の申込み制で入場制限をかけての開催だったんですけど、パレードを入場制限をかけて上限を設けるっていうのが、気持ち的にすごく苦しかったっていうのがあって。本当はできればたくさんの人に来てもらいたいし、規模を縮小してまででもやるべきなのか、それとも入場制限をかけるならやらない方がいいのかとか、去年はそれですごく悩んでいたんですけど、「少ない人数であってもやろう!」っていうことで去年は開催して。でも初めてやったオンラインでの生配信はかなり大変で。
めちゃめちゃ大変そうでしたよね!
全然知識も技術もない中でやったので、本来4時間、5時間の時間の中で司会の人がずっと喋り続けるのも大変なので、途中にCMだとかを合間に入れればよかったんですけど、配信中はずっと喋りっぱなしっていう感じで。
おかげさまで好評な部分もあったんですけど。
やっぱり休憩も挟まないと(笑)
それが去年の大きな収穫と課題で、あとは人数は制限したけれども、それでもイベントを開催することが大事だったんじゃないかっていうことがわかってよかったです。
僕らは当事者なのでパレードって身近なものなんですけど、「アライ」の方だったりパレードのことを全然知らない人たちでも誰でも参加できるっていうのが、このイベントの良さだと思うので。ゆみお(柳谷)さんパレード大好きですもんね?
そうなんです!私パレードオタクで(笑)
新しい!(笑)
いろんなパレードを調べ上げて、できれば全部回りたいっていう。
パレードの醍醐味って何ですか?
パレードっていう一つの目的にみんなが集まってて、知らない人とでも急にハイタッチで仲良くなれるみたいな。一体感というか共通点みたいなものがあって、そこに集まるエネルギーがすごくて。
ちびっ子とかも結構多くてお祭り感覚でほんと誰でも参加できる様になってきましたよね!
もちろん「僕たちLGBTはあなたの近くにいるんだよ!」ってことを訴えるものなんですけど、平和的にみんな楽しく参加してもらいたいってゆうのがあって。札幌のパレードでは毎年最後に風船を空に飛ばしますけど、あれも毎年ゆみおさんが風船の色も悩んで選んでくれて。
そうなんですか!(笑)
そうです!昔「レインボーマーチ札幌」っていう私たちの前身になる団体があるんですけど、その頃からやっていて、風船にも色々こだわりがあって。
天然ゴムを使った風船で、風船を飛ばして空に上がっていくと割れて自然と溶けるっていう環境にも負担がない様な素材のものを使っています。
あとは色も基本的にはレインボーなんですけど、紫は色が濃いので少なめにして赤とかオレンジを多めにしたりだとか。
やっぱりあの光景はいいですよね!
私去年初参加だったんですけど、風船飛ばした瞬間泣きそうになっちゃって!
ほんとにありがとうございます!(笑)
パレード開催にあたり実施されたクラウドファンディング
今年初めて200万円という金額を設定させていただいて、2ヶ月ほど(クラウドファンディング)実施して目標達成することができました。
クラウドファンディングで何か新しいことをしようとかっていうのは考えていたんですか?
今までよりも目標金額を大きく設定させていただいて、本当だったら2019年のパレードの様に市街地をホコテンにして大きく大々的にやりたいなぁってことだったんですけど、今年は残念ながら開催できないということになってしまって、皆様の大事な気持ちがこもったものなので大事にさせていただいて、来年にぜひご期待いただきたいなと思います。
そうですね。
皆さんから毎日毎日温かいメッセージが届いて、ほんとに胸がいっぱいで2、3回泣きました!
一人の方が何度も何度も支援してくださったりとか、ご家族で応援してくれたりだとか。
札幌出身だけど今は違うところに住んでて、行けないから気持ちだけ送りますっていう方ですとか。「代わりに頑張ってくれてありがとうございます」っていう言葉をかけていただくと、僕らも頑張んなきゃなって思わされましたね。 いろんな形でご協賛いただいたり、ご支援いただいたりしてもらっていたんですけど、ほんとにいろんな人が携わってくれてパレードができているんだなぁって。
それも含めてのパレードっていうことですね。
クラウドファンディングの中でこれからやっていきたいことはありますか?
例年はパレードの1ヶ月〜2ヶ月前の期間でやらせていただいていたんですけど、今クラウドファンディングってファンクラブっていうのがあって、定期的にご支援をいただくっていうのがあるんですけど、例えば私たちの方から月に1回、パレードの情報だとか活動の報告をさせていただくっていう形は検討していました。まだそれをやるっていうのは決めていないんですけど。一時的なものではなくて、通年で私たちが活動を発信して情報を提供していきたいと思っています。
関連イベントとかは昔結構やっていたじゃないですか?今回はやらないんですかね?
関連イベントも例年と同じように20イベントぐらいあったんですけど、その中でもオンラインのものは1ヶ月に2つぐらいはあるんですけど、リアル開催のものは中止になっているものもいくつかあります。
やっぱり(miyukiさんは)ナイトイベントがね...(笑)
そうなんですよ!もう私はナイトイベントに向けて行ってるんで!(笑)
クラブイベントは今全体的に厳しいですね。僕もクラブイベント好きで、誰がきても楽しんでもらえるイベントなんでそういうのも来年できるといいですね。
今年もギリギリまでどうにか開催できないかっていうことで考えていて、ビルの屋上とか大通公園のような野外とか。
大通り公園やってほしいですね!楽しみにしてます!来年に向けてぜひ頑張りましょう!
近年のLGBTにおける問題について
今年札幌で同性婚の話題がありましたね。
そうですね!3月に。実質勝訴の裁判と言われていますけど、本当に革命的な裁判で、何と僕傍聴できまして!
私ははずれて傍聴できませんでした!(笑)
実行委員は僕ともう一人が見させていただいたんですけれども。その時は女性の裁判長で、判決を言い渡す時に「裁判長が声を震わせながら〜」っていう感じでいろんな新聞などにも現場の状況が書かれていたんですけど、実際にその現場にいて判決を聞いている時はほんとに「泣いてるんじゃないの?」っていうレベルで。僕は初めての傍聴だったんですけど、やっぱり言葉の内容も難しいんですよ。でも、裁判長が「これは違憲です」って言った時は、「なんかすごいことが起きてるな」と思ってて。そのあと解説会っていうのを弁護団の方がやってくれたんですけど、同性婚に対しての違憲という判決は日本で初めて札幌で下されて、「札幌という土地の空気が裁判官の背中を押してくれたんじゃないか」って弁護士の方も話してくれて。
札幌は日本を代表する(LGBT問題に対する)活動実績の長さだったりとか、先輩たちが作り上げてきたものが礎となって、少しずつ日本も変わってきてるなぁって思うので、僕らもこれからもっと生きやすい社会にしていきたいと思いますし、是非みなさんもこういったことに興味を持っていただいて、SNS見たり、ニュースを見たりしていただくだけで日本は変わっていくと思うので。
大きな一歩じゃないですけど、ほんとにすごいことですよね。全国の方もその裁判について注目してて、判決を知って(嬉しくて)泣いている人もいたし、当事者にとっても大きな一歩なんだなって思って、ほんとに私も嬉しかったですね。
こういう裁判って今まで負けてきたことが多いので、今回の裁判に関しても諦めていた訳ではないんだけど、実際に「違憲」っていう判決が出て私たちの存在が認められたっていうのは、ほんとに大きなことで。北海道はもちろん、全国、海外にもこのことがニュースで流れてて、それぐらいすごいことでしたね。
僕も実際にこの団体で活動するようになってから知ったことってたくさんあって、G7の中で同性愛者に対する法律とか権利の問題について一番進んでいないのが残念ながら日本なんですよ。
最下位なんですか!?
日本人としても嫌だなと思うし、当事者としても悲しいなって思いますね。
裁判は何度か行ってるんですけど、傍聴席が30〜40人座れて、そこがいっぱいで抽選待ちになっている人も何百人もいる裁判ってなると、それだけ世の中が注目しているみんなに関心がある話題ってことで、その裁判がいい方向に働くっていうことがあるので、私たちもその一人として駆けつけて抽選でははずれってゆうのを繰り返して(笑)
でもそれだけ関心がある人がいるんだよっていうアピールにはなるので。
今回はコロナの影響で半分しか入れなくて定員が20人だったんですけど、150人並んで。裁判所の方が「こんなことない!」って言ってました(笑)
これからもどん変わっていくと思うので楽しみですよね!
変わってって欲しいですね。
それでは最後にNORTH NAVIを見ている皆様に一言お願いします!
さっぽろレインボープライドではSNSもたくさんやっていますのでこちらの方をフォローしていただいたりだとか、あとはこれから関連のイベントもいっぱいあって、こちらの方は誰でも参加できるような内容になっておりますのでぜひ見てみてください!
さっぽろレインボープライドは2018年からやらせていただいて4年目ということになるんですけれども、このコロナの影響で実際当日どのような形でやれるかっていうのをまだまだ議論しているところなんですけど、9月19日(日)に何かしらの形で開催できたらいいなというふうに思っておりますので、ぜひ皆さん参加していただきたいのと、私たちはLGBTQの 性的マイノリティーの方々のイベントをやらせていただいているのですが、LGBTの方だけじゃなくて小さなお子さんだとか、支援者の方々だとかいろんな方々に参加していただいてイベントを盛り上げていきたいなと思っておりますので、是非皆さん参加してください。
さっぽろレインボープライド2021
©️ 2021 Sapporo Rainbow Pride. All Rights Reserved.
●さっぽろレインボープライド2021「オンラインパレード」
日時:2021年9月19日(日)午後予定
※スケジュール詳細後日発表
配信媒体:さっぽろレインボープライド公式YouTube(予定)
●さっぽろテレビ塔レインボーイルミネーション
日時:2021年9月19日(日) 19:00~21:00(予定)
Official Web Site
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YouTube
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miyuki Profile.
DJ
母がペルー、父が日本人のハーフ。
パンセクシャルであり、誰もが自分らしくいられる街に、LGBTのイベントにも積極的に参加しています。
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