瀬戸内寂聴、井上光晴、そしてその妻―――。
実在した人物をモデルに、男女3人の特別な関係を
井上夫妻の長女である作家・井上荒野が綴った傑作小説、待望の映画化!
ストーリー
「髪を洗ってやるよ」―――それは女と男でいられる最後の夜だった。1966年、講演旅行をきっかけに出会ったふたりの作家、長内みはると白木篤郎は互いに妻子やパートナーがありながら男女の仲となる。もうすぐ第二子が誕生するという時にもみはるの元へ通う篤郎だが、自宅では幼い娘を可愛がり、妻・笙子の手料理を絶賛する。奔放で嘘つきな篤郎にのめり込むみはる、全てを承知しながらも心乱すことのない笙子。緊張をはらむ共犯にも連帯にも似た3人の関係性が生まれるもみはるは突然、篤郎に告げた。
「わたし、出家しようと思うの」。